ナンテン(メギ科Nandina domestica Thunb.

 ふた昔以上も前の事、私はこの木の名前も知らなかった。
木造のアパートの下が飲み屋になっていて、夜になるとこの木の植わった鉢が入り口に置かれた。

いつも緑で元気そう、荒い扱いでもびくともしない木だと感心していた。
赤ちょうちんに明かりがともると、小振りの葉がほどよい影を作って、
味気ない入り口にもいくらか雰囲気が出てくる。

 ある時、その鉢が割れて中の根っこが見えていた。
白い根がびっしり巻いていたから、根の力ではち切れてしまったのだろうか。
それでも夜のお勤めは果たさなくてはならず、暫くは鉢巻きをされてのご出勤だった。
闇に紛れた厚化粧も、昼の太陽の下では悲しく哀れ、そっと見てみぬふりをした。

 その南天が何時の間にか我が家に植わっていた。植木屋が入り口に植えたのだろうか。
今では庭の何箇所にも生えている。実が飛んで芽を出したのだろう。

 じか植えの南天は思いきり根が伸ばせるから、切っても切っても新しい芽が出てきて
生き生きしている。同じ木でもこんなに違った生長を見せるとは。
人間だって、変わってくるよねえ。 [2000.6.28]

 

右の写真は、[2001.11.25]