
美しい木。あなたが魅せられたのはわかるけれど、これは個人の家に植えるような木ではないのよ。だって20mから30mにもなるのだから。それなのに、門のすぐ脇に植えてしまって!
今年の春、私は随分と迷った。西側に列植されたカイズカイブキと枝がぶつかり合ってしまって、カイズカを切るかクスを切るかで、どれほど悩んだことか。なんのことはない、今でも両方ぶつかり合いながら聳えている。
もう10年も前のこと、ハサミを入れたことのない悠然と聳えるクスノキを、ある建物の5階の窓から見た。大きな窓がすっぽり枝に囲まれて、木の中にいるような錯覚をおこした。下から見上げてもきれいだけれど、葉があまりにも美しいのでこうして上から見られると素晴らしい。私は、自分の部屋の小さい西の窓を開けてこの緑を見ている。古い葉の濃い緑を下地に、若葉が光りを浴びてきらきら光る。
この大きさに押さえるためにどれほど枝下ろしをしたことか。その枝は良いにおいがするから、捨てるのが惜しくて惜しくて。焚き火に入れてもそれは良い香り。良い事ずくめだもの、やっぱり残そう。お隣のカイズカさんに、思いきり小さくなっていただこう。 [2000. 8.1]