
バラは私の庭にないはずのもの、でもこれは私が選ぶ以前、すでに庭のこの位
置にあった。
どうしてバラを私のリストからはずしたかといえば、手がかかるから。
このバラはきれいに咲いたためしがなかった。葉にはいつもシミがあったし、蕾にはいつもアブラ虫がびっしりたかっていて、かろうじて咲かせても花持ちがわるかった。
都心に住んでいた頃、近くにバラでいっぱいの庭があったし、今でもバラはガーデニングの必須アイテムのように扱われている。そりゃあ、なんといったってバラは花の女王様だもの、手がかかればそれだけ人を夢中にさせるのかも知れない。
5年程前、まだ庭などに目も暮れなかった頃、北欧の友人を訪ねたときに、彼等の庭に色々なバラがいかにも元気そうに咲いていた。大輪の黄色やピンク。
「ねえ、バラは手がかかるでしょう?」と聞くと、
「何にもしてないわよ。植えたまんま」と答えが返ってきた。
その瞬間から、「バラは育てないぞ」と心に決めてしまったのだ。
以来、このバラは何度も根こそぎ切り取られそうになった。でも、やはり生きている。にらめっこをくり返した末、2年程前から腐葉土を回りに梳き込んだり草木灰を根元にかけたりしてやるようした。すると、どんどん元気になってきて、今ではしっかりした花を付けている。アブラムシも減ってきた。
小振りバラやモッコウバラなど、手の掛からない種類もあるけれど、今のところはこれひとつで充分。夏咲きの2番花は蕾みで取り除くようにと、どこかに書かれていたけれど、どうしよう。
今、私の部屋は甘い香りにつつまれて、目を閉じればクレオパトラの宮殿の中。 [2000. 7.15]