モントブレチア(アヤメ科)Crocosmia x crocosmiiflora

 花というのはむずかしい。
この苗は3年前に買い求めた。いつかどこかで見たことがあって素敵な花だと思っていたから、見つけたときにはすぐに買い求めた。ほんの数本、黒いビニールポットに入っていたのを大事に植えた。翌年は少し花がついて、秋までにたくさん芽がでていた。増える増えるとゾクゾクした。

 そして今年の春、庭木の大移動の際に植木屋さんが掘ってしまった一部を移動したらしく、別のところからも葉が出てきた(写真は今年の春株分けした方)。初夏の庭にこの葉が風に揺れるとなんとも涼し気で大満足だったのに、今はひたすら困惑している。

 元株の方は、まだ2年目だというのに、葉は中央部から外縁に向かって伸びて真中が穴あきのようになっている。花はあっちこっちを向いて、縁に縁にと伸びていく。ひと株が、何回りにも大きく広がってきて、側の馬酔木や沈丁花を脅かしはじめた。園芸書の写真にあるのは、花がすうっと上に向かって伸びているのに。いや待てよ、ある本の写真では大きな石で脇を押さえてある。そうか庭の中央でなく、縁などに植えるべきなんだ!

 もうこうなると心穏やかでない。あんなに素敵だとおもっていた花がちっとも素敵に見えなくなった。おまけに、昨日、この花が広い畑のたい肥の脇にちょこちょこ植えられているのを見てしまった。土の色とこの橙色ではおてもやんを連想してしまった。どこに植わっていても、きれいなものはきれいなはずなのに....

 今こんなことを思い出した。
ある友だちが、大枚をはたいて値の張る洋服を買った。ここぞというときに颯爽とその服を着て出かけたところ、運悪く同じ服を着ている人に会ってしまった。それだけでもショックなのに、出会った人はいかにもセンスの悪い着方をしていたので、その服が恐ろしく野暮ったく見えてしまったそうだ。気の毒に、晴れやかな気分は吹っ飛んでしまい面白くない一日となってしまったと。そして、もうその服を着る気がしなくなってしまったと。

 モントブレチアさん、あなたはやっぱり素適よ。私の植え方が悪かっただけ。あなたには、エミリーマッケンジーなんて洒落た名前まで付いているのよねえ。10月になったらきれいに抜いて、春には別の所に植えてあげるわね。

 さあて、来年はこの場所に何を植えようかしら。 [2000.7.13]