庭日誌 September 前半|後半 最初のページに戻る戻る

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3

 一時、涼しい日が続いたのに、再び暑さがぶり返している。朝から体中がむくみ、足の裏にスポンジでもつけているような感触がある。こんなことは何年ぶりか、忘れかけていたのに。可哀想に、アルケミラモリスは見る影もなくやつれている。陽が傾き始めて直射日光が当たらなくなったというのに。銅葉のツボサンゴはちっとも大きくならず、花の蕾みをつけたまま、静止状態である。

 けだるくてとても蚊の中に突進する元気が出ず、飲み物を片手に庭を眺めることが多い。窓を開け放った朝の庭、日中の眩しい庭、日没直後の庭、そして月明かりの庭。目を閉じていても、手を掛け語りかけている植物が共に生きている。

 真っ赤なミニバラが時折休んでは咲く。ハバチの幼虫に葉を食い荒らされても、一団の幼虫が育ってしまえば、まもなく勢い良く若葉が育ち、蕾を付ける。パティオの端に鉢植えで置いてあるので、寝ぼけ眼で居間の窓を開けると、深紅の花が待っていたように私を庭に誘う。「ちょっとだけね」と言いながらいくつかの鉢植に朝の水やりをする。「強い種類はいいなあ、弱いのはだめ。私庭には不向き」つくづく思う。

 左は、一番咲きのゲンノショウコの花。Kさんにいただいた苗が元気に育って、これから木陰を彩ってくれそう。すぐ脇に似たような色の小花がぽつぽつ咲いている。これは、細々と子孫を維持しているマツバボタン。固くて栄養もなにもない所で育ったので、祖先の面影を残す程度の雑草みたいになってしまった。

 上の写真を撮っている間に、蚊にさされたけれど、ハバチを数十匹退治し、アルケミラモリスの根元に白い黴を発見した。すぐ隣に、若草色の葉を持つシモツケの鉢を埋めてある。柔らかくてきれいな葉に、黒い糞がたくさんついている。はて....?じいっと目をこらすと、きたない色のオトシブミが何匹も茎にしがみついていた。小奴はつわもので、ピンセットでつまもうとすると、するりと抜けて下に落ちる。ニャロメ、ニャロメ、と戦いが続き、勝敗は2対2であった。こうして朝の1時間程を遊んだら、いつの間にかむくみが消えていた。

5日

 今年は、例年より多く庭でアゲハを見かける。ということは、卵を産みつける場所がたくさんあるということだろうか。ミカンは茂みの奥にあって、とても近寄れないが、クスの木の下に黒い糞を確認しているので、この中でも育っているのだろうか?さあて....

 左から、アゲハの第3(4)令幼虫、終令幼虫、蛹。

 昨日、車を出す直前、助手席に荷物を入れると、黒いつぶつぶが枕木の上に落ちている。すぐ上を覆うように茂っているのはルーなので、もしやと思って目をこらしていると、いたいた、終令幼虫が2匹。ルーにはアゲハが卵を産みつけると聞いていたのだが、毎年隣にあるクチナシの方に産みつけられていた。クチナシとルーを2本ずつ、交互に植えてあるのだが、どうしてもクチナシの方が気に入られてしまい、可愛いもこもこ幼虫が猛烈な勢いで、新芽から召し上がる。お陰で幼木は毎年瀕死の状態になっていた。だが、今年産みつけられたのはスズメガ。お陰で、気軽に退治することができた。
  だから、ルーの方には、3年目にしてやっとアゲハがやって来たことになる。アゲハの幼虫を成虫まで育てることを楽しみにしていらっしゃるYさんに早速連絡した。電話したからには、引き取りに来ていただくまで、ここに居ていただかなくては困る。昨日は何度か確認し、今朝も早速観察したのだが、一匹がいなくなってしまった。もう朝御飯の支度どころでない。「どこに行っちゃったのよ〜」と捜していると、まず見つかったのが一番左の第3令幼虫。これは、もう一方のルーで無防備に居眠りをしていた。困った困ったと改めて昨日居た場所を捜すと、そのちょっと下のところに蛹が見つかった。な〜んだもう蛹になってしまったのか。Yさん、御安心あれ。

6日

 {# 雨の日の繰り言 - 虫と私}

Yさん、お疲れ様でした。終令幼虫はどこかに行ってしまい、蛹の脇腹には穴が空いていて孵化は無理そう。せっかく雨の中をおいでいただき、第4令幼虫一匹だけでは、気の毒に思っていたら、さすが、目が違う。第1令幼虫(まるで卵から孵ったばかり)と第3(2)令幼虫を見つけて、持参の容器に手早く納められました。

 簡単な昼食の後、容器を広げて「この子は大人しいですねえ」などと、指に移して色々と説明してくださる。「この6本が足で、羽化した時に蝶の足になるんですよ...」可愛がっている様子を目の当たりにし、説明を聞いていると、不思議と「気持ち悪い」が「可愛い」に変わってくる。大形の虫眼鏡を引っぱり出して、説明を聞きながら、彼女の指で動く幼虫を篤と観察した。アゲハの幼虫はきれいなもので、人間の指が汚れているとそこから感染して病気になることがあるとか。だからやたらと触らない方が良い、と言いながら、手に移しては可愛がる。無農薬と聞いて買い与えたパセリで死なせてしまった事、タイミング良く雄と雌とが羽化して、部屋の中の柑橘類の鉢植に産卵させたことなど、次から次へと、興味深い話が展開していく。ふと気付くと外はもう薄暗い、雨の1日が瞬く間に過ぎてしまった。

 Kさん、フェンネルには派手な縞模様のキアゲハが育つんですって。ちょいと覗いてごらんなさいよ。きっと可愛いわよ〜。

(Kさん、御連絡ありがとう!芋虫を見ただけで、真っ青になってしまう人もあるんだから、体質や相性ってあるんですねえ。無理をしないでね。ひたすら福祉の心で葉を提供してくださいな。)

10日

 晴れた晴れた!やっと晴れた!梅雨時のような日が続いてうんざりし始めたところ、爽やかな空気に自然な目覚めがあった。我が家には乾燥機がない。だから、朝一番の仕事は洗濯物を思いっきり広げること、それから家中の窓を開け放つ。玄関を開けておくと、野良猫ちゃんがひょっこり部屋を通過していく。その平静な動作から、どうやら、しょっちゅうお通りの様子。

 オミナエシ、これはお買得だった。次から次へと咲き続けている。面白い事に蕾の頃から満開まで背丈が伸び続け、このサイクルが何度も続き、咲き終わった残骸を見た事がない。一体今まで花を咲かせた茎はどこに行ってしまったのだろう?手が掛からず、きれいで花時が長い。これじゃあ可愛くもなるし大事にしてやりたくもなる.... と、ここまで書いて、ふと別のことを考える。子供だって、生徒だって、私はこの方がいい。できの悪い子ほど... とはいうけれど、..... ふむ、できの悪い子は、誠意があればいい。悪い子は苦手。できの良い子は手が掛からないから、費やすエネルギーも少なくてす済み、その結果、心の通い合いや愛情が薄くなるように感じるのかもしれない。そんな事ない、ほんとうは育てる喜びが倍加する。ただ、きれいである必要はなるでなく、好ましい印象が欲しい。 じゃあ、.... 人生のパートナーは?心の通い合い、通わせようとしたくなる魅力、そこが鍵になる。加護してやらなくてはならない存在とは別の次元で、相互関係を構築していく。そして、..... 人間って面白い生き物だなあと、ここからは煙に巻く事にしよう。

 ちいさな蝶がたくさん舞っている、黒いレースで作られたようなのもいる。写真に納めようと家の中に引き返してから戻ると、大きな蜂がいた。恐くなって退散した。

12日

10日の午後から、青森に出かけていた。

 白神山地、暗門の滝への道に入ってまもなく、オオギリがあちらこちらに群生している、なんてきれいなんだろう!

 ブナの森は小雨もよう、じめじめしていて、足下に気をつけながらのハイキングとなった。もう一度、のんびりゆったり森の奥を歩いてみたい。

 帰宅した翌朝、アオスジアゲハの幼虫が車の前のバンパーにへばりついている。真上にあるクスの木から落ちたのだろう。しばらくしてもじいっと動かない。とまどっているのだろうなあ。お陰でじっくり撮影ができた。

 Yさんのお陰で幼虫の扱い方が少し分かっていたので、落ちているクスの葉をそっと差し出すと、ムクムクそちらに移動してくれた。それを、枝に付いている若葉にくっつけると、再びムニョムニョと移って行った。

 「もう落ちないようにね」